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機械器具設置工事業とは?建設業許可の取得が難しい

機械器具設置工事業の建設業許可は難しい

機械器具設置工事業は、建設業許可の中でも取得の難易度が高くやや特殊な工事とされています。

多くの事業者が機械器具設置工事業の許可を取得しようとしますが、許可の取得ができないケースが多いのが現状です。

今回は、機械器具設置工事業の基本的なポイントと許可取得をする際の注意点について解説します。許可の取得には事前の準備が必要なため把握しておきましょう。

目次

機械器具設置工事業とは?

「機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事」が機械器具設置工事です。

言い換えると、「すでにある設備等に材料を持ち込みその場で機械の組み立てをし設置する工事」のことです。

既にできている大型機械等を持ち込みその場に置くだけの場合は、機械器具設置工事として認められません。

また、単体で使用できる機械を組み立てて設置する工事も、機械器具設置工事に該当しません。

「複数の設備や機械と連動させる機械を組み立てて設置」しなくてはならないのです。

さらに「他のどの専門工事にもあてはまらない工事」であるときに、機械器具設置工事と判断されるのです。

建設業者にとって、機械器具設置工事業の許可取得は難関であると言われています。

また、機械器具設置工事許可を元請としてうけたとしても下請業者がこの業種の許可をもっていないことがよくあります。

機械器具設置工事を行う際にはいろいろと注意が必要です。

機械器具設置工事業に該当するかの判断が難しい

機械器具設置工事に該当する工事であるかどうかの判断は非常に難しいと言われています。

機械を組み立て設置する工事には、電気工事や管工事が付帯工事として行われることが多いです。

そのため、付帯工事である専門工事の占める割合のほうが大きく判断されて、機械器具設置工事として認められないという事態が生じることがあります。

では次に、どのような工事が機械器具設置工事に該当するのかその例をみてみましょう。

該当するケース

  • プラント設備工事
  • 運搬機器設置工事
  • 給排気機器設置工事(トンネル、地下道等)
  • ダム用仮設備工事
  • 遊技施設設置工事
  • 舞台装置設置工事
  • 立体駐車設備工事
  • 集塵機器設置工事
  • サイロ設置工事

他のいずれの専門工事として分類されない上記のような複合的な工事が、機械器具設置工事に該当します。

該当しないケース

  • 重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事
  • 変電設備設置工事
  • 構内電気設備設置工事
  • 冷暖房設備設置工事
  • 電気通信設備設置工事
  • 空気調和設備設置工事
  • 太陽光発電設備設置工事
  • 火災報知器設置工事

これらはとび土工工事や電気工事といった他の専門工事として判断されます。

空調機器の設置に関しては、建物内であれば管工事、トンネル内であれば機械器具設置工事となります。

また、重機を使用して運搬した場合はとび土工工事、クレーンを使用した場合は機械器具設置工事となります。

ビル式の駐車場工事は建築一式工事であり、立体駐車場工事は機械器具設置工事です。

区別が難しいので、わからないときは専門家の指示を仰ぐとよいでしょう。

機械器具設置工事業の建設業許可要件

機械器具設置工事業の建設業許可要件の解説

建設業許可を取得するための要件は以下のものとなります。

常勤役員等(経管)の設置

現在常勤の役員、営業所の代表者もしくは個人事業主でありかつ過去に建設業に関し管理責任者として5年以上の経験を有する者を置くこと

専任技術者の設置

一定期間以上の実務経験を持つ常勤の者もしくは決められた国家資格等を有する常勤の者を営業所ごとに置くこと

財産的基礎要件

自己資本額が500万円以上もしくは500万円以上の資金調達能力があること

欠格要件

  • 破産者ではないこと
  • 不正な手段等を行った許可取り消し等から5年以上経過していること
  • 暴力団員若しくはその関係者ではないこと
  • 禁固刑以上の刑に処せられてから5年以上経過していること

誠実性

  • 役員もしくは個人事業主が請負契約に関して
  • 不正または不誠実な行為をするおそれがないこと

社会保険の加入

健康保険、厚生年金、雇用保険に適切に加入していること

機械器具設置工事の許可を取得するためには、専任技術者として該当する資格をもった技術者を営業所ごとに置く必要があります。

機械器具設置工事業の許可要件を満たすのが難しい理由

機械器具設置工事業の許可要件を満たすのが難しい理由として、専任技術者の要件が挙げられます。

しかし、近年の法改正により要件が緩和され、現在は比較的要件を満たしやすくなっています。詳しく見ていきましょう。

専任技術者の要件が厳しい

機械器具設置工事については、かつては専任技術者になれる人材がいないことが多い業種として有名でした。

それは該当する資格が少なかったことによります。

しかし法改正により、専任技術者の要件が緩和され、従来よりは専任技術者を選ぶことが容易になりました。

資格

機械器具設置工事の許可を取得するには、その専任技術者として定めるものが以下の資格を有していないとなりません。

  • 機械・総合技術管理技術士
  • 機械「流体工学」または「熱工学」・総合技術管理(機械「流体工学」または「熱工学」)

以前は、上記の資格のみ専任技術者となることが認められていました。

しかし、令和5年7月に法改正が行われ、追加で次の資格も認められるようになりました。

  • 建築施工管理技士、技師補(一級、二級)
  • 電気工事施工管理技士、技師補(一級、二級)
  • 管工事施工管理技士、技師補(一級、二級)
  • 電気通信工事施工管理技士、技師補(一級、二級)

さらに、令和5年11月には下記の登録基幹技能者も追加され、機械器具設置工事の専任技術者となれる資格が増えました。

  • 登録計装基幹技能者

登録基幹技能者となるためには実務経験10年が必要です。

計装工事とは、プラントや工場で計測や制御を行うための設備を設置する作業をいいます。

電気・管・機械器具設置・電気通信に関わる専門的な知識と技能が求められる工事です。

この計装工事の実務経験があり、かつ計装基幹技能者であれば、機械器具設置工事の専任技術者となることができるようになったのです。

実務経験

下記の実務経験があれば、機械器具設置工事の専任技術者となることが可能です。

  • 法第7条第2号 イ該当(指定学科卒業+実務経験)
  • 法第7条第2号 ロ該当(実務経験10年)

この指定学科とは、建築学・機械工学・電気工学に関する学科となります。

卒業した学科がこれらに該当するかどうかは、事前に許可行政庁に確認を取ることをお勧めします。

該当する場合は、証明書類として卒業証明書(原本が必要な場合もあり)が必要となります。

卒業証書ではありませんので注意してください。

高等学校や専門学校を卒業したのであれば、実務経験は5年以上必要です。

大学や高等専門学校であれば、実務経験3年以上です。

実務経験は、機械器具設置工事業の許可を有している業者での経験であればまず認められます。

しかし許可業者ではない場合、経験内容が機械器具設置工事として認められるには難しいと言われています。

通常であれば請負契約書などのみで業種の判断がされますが、機械器具設置工事に関してはその他にも確認書類を求められることがあります。

これらを必要年数分揃えなくてはなりません。

判断は行政庁による

同じ書類をそろえたとしても、それが機械器具設置工事に該当するかどうかは行政庁判断です。

機械器具設置工事業者が許可権者を換える申請である「許可換え」を行った際に、今まで行ってきた工事が機械器具設置であると認められなかったケースもあります。

実務経験の証明は、過去に行った工事に関する書類のみでしか行われません。

いくら口頭で説明をしても、求められる書類を用意することができなければ認められません。

機械器具設置工事の許可をとる際にはこういった事案もあることにも留意してください。

機械器具設置工事業の建設業許可を取得するための準備

要件を満たせなければ、建設業の許可を取得することはできません。

年数が足りなければ、要件を満たすようになるまで待たなければなりません。また、技術者がいなければ、資格をとらせたり有資格者を新たに雇い入れるなどの必要があります。

許可が必要になってからいろいろと動くのは遅いかもしれません。

事前に確認しておけば、この後の許可申請をスムーズに運ぶことができます。

機械器具設置工事の許可取得のためにできる準備

建設業許可の要件を満たすように、前もってできることはしておきましょう。

準備には時間もかかります。

また要件を満たすことが難しい場合は、専門の行政書士に相談をしておくと安心です。

何か方法を知っているかもしれません。

書類の作成と保管

常勤役員等(経管)専任技術者の証明には、必要年数分の書類をそろえなくてはなりません。

実務経験10年においては、その取得したい業種に関する工事の請負契約書や注文書が10年分必要になります。

機械器具設置工事については、その工事が「そのほかの専門工事に該当しない、複合的に機能する機械の組み立てをし設置をする工事」であることを示さなくてはなりません。

そのために、注文書だけではなく、組み立てる機械のカタログや、機材の運搬方法がかかれた工程表、設置する場所を示した図面などが必要になることもあります。

施工体系図を求められる場合もあります。

日ごろから工事書類を適正に作成し保存しておくようにしましょう。

専任技術者の確保

許可が必要になった時、営業所に常勤の有資格者がいればよいのですが、不在であれば技術者を確保する必要があります。

機械器具設置工事の専任技術者となれる資格はいくつかありますが、その要件を確認しておきましょう。

たとえば、新入社員として雇い入れる際に指定学科卒業である人を選んでおくこともよい方法です。

このような場合は、自社で持っている許可業種であれば3年または5年後には専任技術者となることができます。

また、人材バンク等にも技術者の登録があります。

特に機械器具設置工事の監理技術者資格者証をもった人がいることもあります。

特定建設業が必要な場合には大事な人材ですので、前もって探しておくのもよいでしょう。

機械器具設置工事は特殊

通常は、その業種に当てはまる書類を集めその業種を行ってきたこと証明します。

しかし、機械器具設置工事については違います。

機械器具設置工事のために集めた書類は、機械器具設置工事を行ってきたことの証明となるとは限りません。

ほかのどの業種にもあてはまらない機械の組み立て及び設置の工事であると判断されたときに、機械器具設置工事として認められるのです。

これが機械器具設置工事の取得が難しいと言われる理由の一つともなっています。

この記事を書いた人

建設業許可の窓口/行政書士事務所サブシディ運営/建設業許可に関する最新情報を発信中/各種申請手続きのサポートも実施

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