建設業許可の要件として経営業務の管理責任者の配置があります。
経営業務の管理責任者は、専任技術者と同じく建設業許可において要件を満たすのが難しいとされています。要件を満たすための事前準備が重要であり、裏ワザやテクニックが必要な時もあります。
令和2年の法改正により、これまでとは異なる要件でも認められるようになるなど変化もあります。
今回は、建設業許可における経営業務の管理責任者について解説していきます。
建設業許可における経営業務の管理責任者
以前は経営業務の管理責任者(経管)と呼ばれていた、「常勤役員等」の人的要件は次のようになります。
「法人である場合においてはその役員のうち常勤のもの、個人である場合には本人またはその支配人をいい、営業取引上対外的に責任を有する地位において経営業務について総合的に管理した経験を一定期間以上有する者」
ここで営業取引上対外的に責任を有する地位とは、法人の役員、委員会設置会社の執行役、個人事業主、あるいは令3条使用人等を指します。
以前は一人の常勤である役員が上記の要件を満たさない場合は、経管をおくことができないという判断により許可が下りませんでした。
しかし法改正により緩和され、常勤役員等に「補佐人」をつけることで経管として認められるようになりました。
経営業務管理の責任者の注意点
経管は建設業許可において最も重要で難しい要件です。
これまでの建設業における一定期間以上の経験が必要になりますので、現在、代表取締役や個人事業主など責任を負う立場であれば誰でもなれるというわけではありません。
また経管不在になると、建設業許可を存続できなくなりますので要注意です。
次に、経管における注意点を挙げていきます。
- 主たる営業所に置く必要がある
- 常勤性が求められる
- 経管になれない人
主たる営業所に置く必要がある
経管となる人が常駐している営業所が、建設業許可上の「主たる営業所」とよばれます。
よって、主たる営業所は必ず登記上の本社になるとは限りません。
全国展開をしている業者である場合、主たる営業所のある地域を管轄している行政庁が許可行政庁となります。
大臣許可であっても、たとえば東京の本社にいた経管が大阪に異動になった場合、主たる営業所は東京本社から大阪営業所となります。
この時、許可行政庁は関東地方整備局から近畿地方整備局と変更となりますので注意が必要です。
常勤性が求められる
専任技術者と同様に、経管は常勤でなくてはなりません。よって、非常勤の役員は経管となることはできません。
経管になる人も通勤圏内に主たる営業所があることが必須であり、申請時には居住地の確認として住民票が必要になります。
中には転勤等で住民票を移していない場合もあるかもしれません。
この時は、現在実際に住んでいる家の「賃貸借契約書」や「経管名義の公共料金の支払明細書」などで居住確認が行われます。
経管になれない人
専任技術者と同様で、他社の代表取締役、清算人は常勤性の観点から「常勤役員等(経管)」になることはできません。
ただし、他社において複数の代表取締役が存在し、その他社の代表による「非常勤証明書」の提出ができればよいとされています。
また、建設業の他社の技術者になることはできません。
宅地建物取引業の専任取引士、建築士事務所の管理建築士の兼任も不可です。
国会議員や地方公共団体の議員も経管にはなれません。
健康保険、厚生年金、雇用保険(役員を除く)に加入していない人も経管になることはできません。