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電気工事業登録と建設業許可の関係とは?

電気工事業登録と建設業許可の関係とは?

電気工事業を行うには、電気工事業登録と建設業許可の取得が必要なことがあります。

電気工事業登録と建設業許可は管轄する省庁が異なり、それぞれの関係性を把握しておくのが重要です。

今回は、電気工事業登録の基本と建設業許可の関係性について解説します。

目次

電気工事業登録とは

電気工事業とは、一般用電気工作物または自家用電気工作物を設置し、または変更する工事を営むことをいいます。

電気工事業を行おうとするときは、電気工事業の業務の適正化に関する法律に基づき行政庁に届出を行わなくてはなりません。

ただし、この届出を行わなくても軽微な工事は行うことができます。

軽微な工事とは、電圧600V以下の接続器や開閉器にコード等を接続する工事や、小型変圧器の二次側の配線工事などを言います。

また、家庭用電化製品の販売に伴う設置工事なども届出は不要です。

電気工事業にはいくつかの種類があり、どれに該当するかによってこの届出方法は異なります。

  • 電気工作物の種類
  • 電気工事業者の種類
  • 電気工事業の申請先
  • 電気工事業登録の要件
  • 電気工事登録の必要書類

電気工事業の詳細について見ていきましょう。

電気工作物の種類

電気工作物には取り扱う工作物によって区分分けがされています。

そして、その区分ごとに電気工事を行うことができる国家資格が異なっており、資格がないとその工作物の工事を行うことができません。

一般用電気工作物と事業用電気工作物

電気工作物は、「一般用電気工作物」と「事業用電気工作物」に分かれます。

一般用電気工作物とは、600V以下の低圧で受電し、同一構内で使用する電気工作物をいいます。

また、太陽電気発電設備や風力発電設備などの小出力発電設備を有する同一構内にて600Vの低圧で受電する電気工作物もこれにあたります。

事業用電気工作物とは、一般電気用工作物に該当しない電気工作物をいいます。

電気事業用電気工作物と自家用電気工作物

事業用電気工作物は「電気事業用電気工作物」と「自家用電気工作物」の総称です。

電気事業用電気工作物とは、電気事業者の発電所や変電所、送配電線路など、日本各地の電力会社が運用している電気供給設備をいいます。

一方、自家用電気工作物とは、一般送配電事業者または特定送配電事業者から高圧及び特別高圧で受電する需要家の電気工作物のことをいいます。

また、小出力発電設備を除く自家発電設備のある需要家の電気工作物も、自家用電気工作物に該当します。

電気工事業者の種類

電気工事業者は主に4種類に分かれています。

  • 登録電気工事業者
  • みなし登録工事業者
  • 通知電気工事業者
  • みなし通知電気工事業者

登録電気工事業者

取り扱う電気工事が「一般用電気工作物」または「一般用電気工作物」および「自家用電気工作物」であり、建設業許可を持たない場合は、登録電気工事業者の届出が必要となります。

みなし登録工事業者

建設業許可業者であり、取り扱う電気工事が「一般用電気工作物」または「一般用電気工作物」および「自家用電気工作物」である場合は、みなし登録電気工事業者の届出が必要となります。

通知電気工事業者

取り扱う電気工事の種類が「自家用電気工作物」であり、建設業許可を持たない場合は通知電気工事事業者の届出が必要となります。

みなし通知電気工事業者

建設業許可業者であり、取り扱う電気工事の種類が「自家用電気工作物」である場合は、みなし通知電気工事事業者の届出が必要となります。

電気工事業の申請先

電気工事業の申請先は、営業所をどこにおくかで異なります。

営業所が1つの都道府県内のみの場合は、営業所住所地の都道府県知事に申請をします。

営業所が複数の都道府県にまたがる場合は、国への手続きが必要です。

この複数の営業所が一つの産業保安監督部の区域内であれば、その産業保安監督部長あてに申請をします。

二つ以上の産業保安監督部に営業所がある場合は、経済産業大臣あてに申請をすることとなります。

電気工事業登録の要件

電気工事業を営むためには、要件がいくつかあります。

この要件をクリアしないと、自社にて電気工事を行うことができません。

  • 有資格者の設置
  • 器具の設置
  • 欠格事由に該当しないこと

ただし要件を満たすことができない場合は、元請けとして電気工事を請け、それを電気工事業社である下請けにだすことは可能となります。

有資格者の設置

登録電気工事業およびみなし登録電気工事業を営むためには、「主任電気工事士」を置かなくてはなりません。

この主任電気工事士には、第一種電気工事士、または登録電気工事業者での実務経験3年以上の第二種電気工事士でないとなることができません。

通知電気工事業者およびみなし通知電気工事業者は、第一種電気工事士または認定電気工事従事者認定証をもつ人が必要となります。

第二種電気工事士は自家用電気工作物を取り扱うことはできませんので注意が必要です。

器具の設置

登録電気工事業者およびみなし登録電気工事業者は絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗及び交流電圧を測定する回路計の備え付けも必要となります。

通知電気工事業者およびみなし通知電気工事業者は、絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗および交流電圧を測定する回路計、低圧検電器、高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置の備え付けが必要となります。

欠格事由に該当しないこと

電気工事業登録をする場合、以下の欠格要件に該当してはいけません。

  • 電気工事業法、電気工事士法または電気用品安全法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない場合
  • 電気工事業の登録を取り消され、その処分があった日から2年を経過していない場合
  • 過去2年以内に電気工事業の登録を取り消された法人の役員であった者である場合
  • 電気工事業法の規定により事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過していない場合
  • 上記のいずれかに該当する者が役員として在籍している場合
  • 申請書または添付書類に重要な事項について虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が欠けている場合

電気工事登録の必要書類

登録電気工事業者の届出に下記の書類の提出が必要となります。

  • 様式第1登録電気工事業者登録申請書または様式第18電気工事業開始届出書
  • 誓約書(申請者自身のもの)
  • 誓約書(主任電気工事士に関するもの)
  • 主任電気工事士の従業員証明書(雇用証明書)
  • 主任電気工事士等の実務経験を証する書面(電気工事士免状の写し又は電気工事士であることの証明書、主任電気工事士等実務経験証明書)
  • 備付器具明細書
  • 住民票(個人の場合)または登記簿謄本(法人の場合)
  • 建設業許可証(みなしの場合のみ)

申請手数料として、22,000円かかります。

みなしである場合(建設業許可を有する業者)は費用は掛かりません。

登録電気工事業者は5年ごとに更新申請が必要となります。

一方、通知電気工事業者は、下記の書類が必要となります。

  • 様式第14の2電気工事業者開始通知書または様式第21 電気工事業開始通知書
  • 誓約書(通知者自身のもの)
  • 備付器具明細書
  • 登記簿謄本(法人の場合)
  • 建設業許可証の写し(みなしの場合のみ)

通知電気工事者の登録費用はかかりません。

500万円以上の電気工事業には建設業許可が必須!

 建設業法に基づく許可を受けた場合でも、「電気工事業」を営むときは、都道府県知事又は経済産業大臣へ届出等の手続きが必要です。

建設業許可の管轄は国土交通省であり、電気工事業の管轄は経済産業省となります。

ただし、行う工事が税込500万円未満であれば、建設業許可は不要で電気工事業の届出のみで大丈夫です。

また電気工事業者が、電気工事業以外の建設業許可をはじめて取得した場合は「みなし」電気工事業者となるので、この際にも届出が必要となってきます。

電気工事業の建設業許可を取得する際のポイント

電気工事業の建設業許可は、他の許可と同じく「専任技術者」と「経営業務の管理責任者」の設置がポイントです。

専任技術者と経営業務の管理責任者には裏ワザに近い細かいテクニックがあります。気になる方は併せてチェックしておきましょう。

専任技術者

建設業許可の電気工事業を取得するには、営業所ごとに資格を持った常勤の専任技術者を置かなくてはなりません。

電気工事業の専任技術者となれる資格は下記のものとなります。

  • 法第7条第2号 指定学科卒業+実務経験
  • 法第7条第2号 10年の実務経験
  • 電気工事施工管理技士、技師補(一級、二級)
  • 電気工事士(第一種、第二種)+実務経験(第二種のみ)
  • 電気主任技術者(第一種~第三種)+実務経験
  • 建設・総合技術管理(建設)技術士
  • 建設・総合技術管理(鋼構造及びコンクリート)技術士
  • 電気電子・総合技術管理(電気電子)
  • 建築整備士+実務経験
  • 計装+実務経験
  • 登録電気工事基幹技能者

経営業務の管理責任者

建設業許可を取得するためには、常勤役員等(経営業務の管理責任者)をおくことも求められます。

経営業務の管理責任者(経管)とは下記のような要件を満たす人のことです。

「法人である場合においてはその役員のうち常勤のもの、個人である場合には本人またはその支配人をいい、営業取引上対外的に責任を有する地位において経営業務について総合的に管理した経験を一定期間以上有する者」

ここで営業取引上対外的に責任を有する地位とは、法人の役員、委員会設置会社の執行役、個人事業主、あるいは令3条使用人等を指します。

経管は主たる営業所に置く必要があり、またその営業所に常駐していなければなりません。

この記事を書いた人

建設業許可の窓口/行政書士事務所サブシディ運営/建設業許可に関する最新情報を発信中/各種申請手続きのサポートも実施

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