建設事業者の多い東京都では、多くの建設業許可が取得されています。
東京はゼネコン等の大手企業が本社を構えるだけでなく、大規模から小規模の工事が頻繁に行われており建設業の需要が最も高い地域と言えます。
一般的に、東京都の建設業許可は取得が難しいとされています。取得要件が厳しいだけでなく、東京都都市整備局の建設業許可の手引きを見てもわかるとおり、手続きの煩雑さも特徴です。
しかし、一方で建設業許可を取得できると事業の幅が広がるため大きなメリットがあります。
今回は、東京都の事業者様向けに建設業許可を取得する方法を解説します。建設業許可を取得したい方は、ぜひご覧ください。
東京都の建設業許可取得

令和6年度国土交通省の調査によると、東京都にある建設業許可業者の件数は、令和6年3月末時点で44,078業者となっており、全国第一位となっています。
全建設業許可業者の約9.2%が東京都に所在地をおいています。
しかし、建設業者数がピークであった平成12年と比較すると21.7%も減少しています。
これらは経営不振や後継者不足などにより、廃業する建設業者が多くなってきていることが原因といわれています。
また、東京都には大手ゼネコン会社が集中しており、これらの会社は大臣許可である会社も多いです。
東京都知事許可を取得している業者は41,375社となっていて、知事許可件数においても全国第一位です。
実は東京都で建設業許可を取得するのは難しいと言われています。
それは、実務経験の証明書類をそろえるのが他の都道府県と比べると大変なためです。
同じ建設業許可であっても、地域により必要な書類や判断基準が異なることがあります。
しかし、建設業許可要件をしっかりと満たしていていれば東京都で建設業許可を取得するのに何の問題もありません。
東京都知事許可を取得するには
東京都知事の建設業許可を取得するためには、まず常勤役員等(経営業務の管理責任者)が常駐する営業所(主たる営業所)が東京都内にある必要があります。
また、他の都道府県にある営業所においても建設業許可が必要な建設工事を行う場合は、東京都知事許可ではなく大臣許可(関東地方整備局)となります。
主たる営業所には常勤の専任技術者を置かなくてはなりません。
また、そのほかの建設業許可要件を満たしている必要があります。
必要書類一覧
東京都知事許可の申請を行う際には下記の書類が必要です。
- 建設業許可申請書
- 役員等の一覧表
- 営業所一覧表
- 専任技術者一覧表
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 使用人数
- 誓約書
- 定款(法人・新規申請のみ)
- 財務諸表
- 営業の沿革
- 所属建設業者団体
- 健康保険の加入状況
- 主要取引金融機関名
- 別とじ表紙
- 常勤役員等の証明書
- 常勤役員等の略歴書
- 専任技術者一覧表
- 許可申請者の生年月日等に関する調書
- 登記事項全部証明書(法人のみ)
- 納税証明書
- 登記されていないことの証明書
- 身分証明書
- 常勤役員等の確認書類
- 専任技術者の確認書類
- 営業所の確認書類
- 社会保険、雇用保険の加入証明資料
審査終了後に追加指示のあった書類については、原本不要の場合に限り電子メールに添付すれば大丈夫です。
また、東京都では主たる営業所の郵便・電話・FAX番号の確認資料として、名刺や会社の封筒などを提示する必要があります。
申請の際には東京都が発行している手引きをしっかり読んでおきましょう。
申請先

書類の提出先は下記の通りとなります。
東京都都市整備局市街地建築部建設業課
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 都庁第二本庁舎3階南側
03-5321-1111(代表)
受付時間は午前9時00分~午後5時00分 です。
新規申請や更新申請等、手数料の納入が必要な申請については、午前9時00分から11時30分、午後1時00分から4時00分までに行く必要があります。
申請費用
新規許可、許可換え新規、般特新規については9万円となります。
業種追加、更新については5万円です。
自分で申請をする場合は上記の金額となりますが、行政書士に依頼をすると報酬代がさらにかかります。
新規申請の場合は10万~15万円ほど、更新や業種追加申請で5万~10万円ほどとなります。
許可取得までの期間
審査の際、不足書類や申請内容に不備がある場合は受付完了となりません。
書類がそろうまで何度も足を運ぶことになります。
ある程度書類がそろい要件を満たすことが明白となれば、その時点でやっと受付印をもらうことができます。
受付印をもらってから、審査にかかる標準処理期間は約25(開庁)日となっています。
東京都の建設業許可の注意点

東京都ならではの建設業許可における注意点を見ていきましょう。
- 行政書士による電話対応を受けられる
- 申請は郵送または電子がおすすめ
- 申請する書類によって窓口が違う
- 手数料は現金で納入する
- 書類の綴じ方に指定がある
東京都は、建設業許可の申請件数も多いため申請実績のある行政書士も多くいます。不明な点があれば、お近くの行政書士に相談してみましょう。
行政書士による電話対応を受けられる
建設業許可について質問があるときは、東京都庁に電話をして確認することができます。
この時、専門の行政書士が電話対応をしてくれます。
また、都庁には建設業許可相談コーナーがあり、そこには担当制で行政書士がいてさまざまな相談にのってくれます。
すでに提出済みの書類等については、代表電話に電話をかければ許可担当につないでくれます。
申請は郵送または電子がおすすめ
東京都の建設業許可の担当は多忙を極めています。
直接提出をしに行ってもよいのですが、窓口で1~2時間待たされることもあります。提出期限が迫っている書類ではなければ、郵送または電子申請がおすすめです。
郵送の際には、返送用のレターパックを必ず入れておきましょう。
電子申請を行うためには、事前にGビズIDの登録が必要となります。
申請する書類によって窓口が違う
都庁第二本庁舎の3階、建設業課には①~③窓口があり、提出する書類によって窓口が異なります。
①番は主に新規申請や要件に関わる変更届など、書類審査に時間を要する申請の窓口となっています。
通常の変更や決算報告書の提出は②番窓口です。
③番は主に経営事項審査の窓口となっています。
また、入って左手には、行政書士がいる相談コーナーがあります。いずれも受付にて番号票を受け取る必要があります。受付は入って少し進んだ右手奥にあります。
手数料は現金で納入する
許可に関わる手数料は収入印紙や県証紙でおさめる場合が多いのですが、東京都は現金にて納入となっています。
1番窓口にて書類の審査がおわり右手の受付にて受付印をもらえたら、左手にある支払い窓口にて現金にて納入します。
郵送申請の場合は「現金書留」または「Pay-easy(ペイジー)対応の納入通知書」になります。
電子申請であれば「Pay-easy(ペイジー)」決済となります。
書類の綴じ方に指定がある
許可申請書類については、指定のまとめ方があります。
「建設業許可申請書」「表紙をつけた別とじ」「確認資料等」「電算有力用」「役員等氏名一覧(東京都独自の書類)」にまとめます。
また、これらの書類はステープラ(ホチキス等)で閉じずに、紐綴じまたはワニクリップ等で綴じるようにしてください。
詳しくは手引きに記載がありますので、よく読んでから提出するようにしましょう。